
野村 克也 /米長 邦雄
致知出版社 刊
発売日 1999-04
今は分からない部分が多いが,再度読み返してみたい本。 2004-12-20
阪神タイガース元監督の野村克也氏と永世棋聖の米長邦夫氏による対談です。野球と将棋という異なる世界においても相通じる勝負の心構えがあることを本書は教えてくれます。とはいえ、自分の意思がある選手を使って試合運びを行う野球監督と駒を自分で動かす棋士の違いは大きく、その点では対談は必ずしも噛み合ってはいません。
また、米長氏が「われわれの世代以上の棋士は個性というのとは別の次元で、強風にさらされて育った樹木のように瘤があったりねじ曲がったりといった人間的な癖がつきものでしたが、彼ら(羽生善治氏らの世代)は個性的ではあっても、人間的な癖はありません(P. 75)」と言うように、羽生氏と同世代の私からすれば両氏の言葉にはどうしても相容れない臭みがあります。しかし、それらを差し引いても、本書から学べる点は数多くあります。いくつか下記に抜粋します。
・「(野村氏)(中略)人間には与えられた能力に限界があるということをしみじみと感じています。努力はその能力を限界までもっていくことです。(中略)しかし、能力は無限ではないのだから、いずれ限界がくる。さて、そこからが問題です(P. 69)」。まだ、努力の段階にいる自分に言い聞かせたい言葉です。
・「毎日一時間でも詰め将棋をやることで将棋に対する情熱を二十四時間燃やして、その情熱を何年間も待ち続けるという意味だったんですね(P. 130)」。これは実践では役立たないという批判がある『詰むや詰まざるや』という江戸時代の詰め将棋を米長氏が門下生に課した理由について羽生善治氏が述べた言葉です。これは「潜在意識に植えつけること」の重要性を説いた「マーフィーの法則」に通じます。
本書には良く分からない点も多くありますが、20代という私の年齢を考えれば当然でしょう。世代間格差で今後も理解が適わないかもしれませんが、時間を置いて再度読み返したい本です。
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島 朗 /羽生 善治 /佐藤 康光 /森内 俊之
河出書房新社 刊
発売日 1999-03
読みの訓練、大局観の確認に最適の教科書 2005-04-15
最初にこの本は、有段者向けと思います。
ただ級位者の方でも大局観の勉強には、いいと思います。
局面を提起して、羽生、森内、佐藤の三人に読みを披露してもらう内容ですが、聞き手の島さんのも読者の聞きたいことを見事についている。
なお提起している局面が25局面あるのですがいずれも自分の読みを試すには最高の局面です。
従来の問題集のような次の1手が存在するような局面でなく、話題の局面であったりアマが知りたい局面であったり うーん島さん選び方最高ですよ。
なお同じ局面でも3者が全く違う大局観の局面があり(先手を持ちたいという羽生と後手を持ちたいという森内、佐藤)興味深い。
この本は、各局面を自分の読みを入れてあとから3者の読みと大局観と比べると大変勉強になる画期的な本です。
この最高の組み合わせはもう実現しないかもしれませんね。
こういう企画の本を出版する島さんに拍手。
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羽生 善治
日本将棋連盟 刊
発売日 2004-04
初心者には宝の山 2004-05-01
羽生名人の名前をタイトルに入れる必然性はないです。ごく普通の手筋本
です。
しかし、図面が多く、しかも読みやすく配置されていて、初心者、中級者には
まさに宝の山でしょう。
定跡は、覚えてもその通りの局面になることはまずないのですが、手筋の
場合は、実戦でそのまま使えることも多く、重宝します。
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大崎 善生
講談社 刊
発売日 2003-05
プロの将棋棋士を目指して 2007-02-03
平成13年度 第23回 講談社ノンフィクション賞受賞作
大崎さんの作品は村山聖さんを描いた『聖の青春』以来
2作目となります。
この本は、面白くはありません。
成田英二さんを中心に奨励会を退会した数人のことが
書かれています。
将棋が大好きな著者・大崎さんから見れば夢を追いかける
成田さんは、選ばれた人間です。
奨励会を退会するとき連盟から一組の駒が送られるそうです。
羽生さんに 0勝4敗・・・成田さんのvs羽生戦の戦績です。
退会後、成田さんに再会した大崎さんは彼にとって羽生さんは
誇りであることを知ります。
成田さんが常に肌身離さず持っているもの・・・それは
連盟からもらった将棋の駒と森昌子のブロマイド
彼の人生に勇気と力をあたえているものです。
この本には、あるひとつの人生が書かれています。
家族がみな彼を応援し故郷・北海道を捨て
将棋のプロを夢見て挫折していった現実が描かれています。
それでも、成田英二さんは
将棋をしてきて良かったと言います。
この本を読み終えて、読んでよかったと思っています。
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所司 和晴
毎日コミュニケーションズ 刊
発売日 2006-12
152の仕掛け 2007-01-02
前作の仕掛け大全(四間飛車編)の続編です。
構成は、前作同様テーマ図を掲載し見開き2ページで完結すると言うスタイルです。
前作や東大将棋に収録されなかった最新変化のテーマ図も15ほど掲載されています。
(四間飛車急戦の小阪流▲83角や松尾流完成前に仕掛けるとか興味深い戦形が
多数含まれます)
ハンドブック的要素(この主要変化の確認)に加え別の使い方としては、
テーマ図自体が仕掛け直前の図なので読みを入れるにはもってこいの図ですので、
読みの訓練にはなります。
前作同様見開きにした分見やすい代わりに隠れた変化が省略されています。
(その点は、東大将棋シリーズの棋書やソフトを参考にとありましたが商売上手だなあ)
所司さんの本はどれも解説上手なので持っていて損のない1冊と言えると思います。
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羽生 善治
日本将棋連盟 刊
発売日 2003-12
将棋がうまい人は歩の使い方がうまい。 2006-09-30
将棋の駒の中で最弱の名をほしいままにしている歩ですが、
使い方しだいでは相手を最も困らせることのできる駒といってもよいでしょう。
その歩の使い方を見ていく本です。
矢倉、美濃、穴熊崩しをはじめ、実にさまざまなうまい歩の使い方が載っています。
定跡を1つ2つ勉強したら、ぜひこの本で歩の使い方をマスターしてください。
まだ、序盤の駒組みもよく分からない人は
先にこのシリーズの第5弾『玉の囲い方』を読むと良いかと思います。
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先崎 学
講談社 刊
発売日 2006-05-16
近視矯正手術を扱った「さらば、ド近眼」の件はなかなか興味深かったですね 2006-08-14
先崎学さんの文章の巧みさは定評のあるところで、ユーモアたっぷりのエッセイは大好きです。過去に書かれた物は大抵読んでいますので。
本書は、ほぼ書き下ろしというわけで、先崎さんの日常のあれこれがいつものように笑いを取りながら軽快なテンポで書き進められています。
冒頭の「立喰いそばアレコレ」は、先崎さんの個性が際立った箇所でしょうし、「今、何時?」は勝負師の厳しさとは裏腹に、筆者の横着ぶりが痛快に伝わってきます。
棋士としても発想豊かな着手で知られています。
文章も指し手も非凡なものがありますね。続編を期待します。
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団 鬼六
幻冬舎 刊
発売日 1997-04
小池重明の生き様そのものが「小説」のようですし、破天荒ですね 2005-09-12
将棋が好きで、四半世紀ほど前、相当凝ったことがあります。その頃「小池重明」というアマチュア将棋界において、伝説となっている強さを誇った「真剣師」がいました。
この本はその小池重明の波乱万丈の生涯を綴った小説です。書き手があの特異な官能小説、SM作家として第一人者の団鬼六です。二人の不思議な繋がりは本書で確認していただくとして、異能は異能を認める、というわけですかね。
小池重明の生き方って本当に笑ってしまうほど、ムチャクチャです。「飲む、打つ、買う」の放蕩の限りを尽くし、44才で孤独の内に亡くなりました。型破れですし、破滅型の典型とも言えます。ところが、将棋となるとその天賦の才を発揮し、強豪のプロもアマも打ち破っていきます。
小池重明は、最後の「真剣師」とも言われています。「賭け将棋師」のことで、プロ棋士とは違うのですが、全国に名だたる真剣師たちを次々と打ち負かし、そして日本将棋連盟所属のプロ棋士相手にも勝ち越しました。不世出の「賭け将棋師」です。
プロと対戦するため、連続二期アマ名人となり、特例でプロいりの話も出ましたが、品行が悪く、寸借詐欺事件を起こしたため、アマ・プロ全ての将棋の世界から追放されました。
本当に天賦の才と破滅の運命に翻弄されたかのようにして、44歳で伝説の「真剣師」が人生の幕を閉じました。
本書はそんな小池重明を団鬼六が温かく魅力的に描いています。不可思議な魅力を持ったいき様でした。
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内藤 國雄
日本将棋連盟 刊
発売日 2006-03
1手必死が秀逸 2006-03-31
級位者向けの終盤強化のための本だと思われますが、
さすが内藤さんが書いた本となると有段者でも楽しめます。
1手必死というのは、詰め将棋の5手詰み程度のような感じですが、
結構楽しめます。
本の構成は、1,2章で簡単な詰めや必死の講座があり
3章で、比較的簡単な1手必死 120題
4章で、少し骨のある1手必死 30題
という構成ですが、結構終盤強化には、参考になります。
今期順位戦で、最終局を落として、昇級の最年長記録を逃した内藤さん
これからもまだまだ頑張ってほしいと思います。
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将棋の腕前を上げるには、実戦が一番。しかし一流の棋書があれば短期間に上達できる。おすすめの将棋本はこれだ!